親権者さんよ

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わが子と「14年ぶりに再会」した53歳男性の思い

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東洋経済オンライン
 健司さんは会社経営をしているので、ネット検索をすると顔写真が出てきます。子どもたちは幼いころの記憶を頼りに、父親のことを調べていたようで、すぐに「お父さんだ」と気がついたそうです。  「息子から突然連絡がきて、『あなたの息子』と言われたときにはものすごく涙が流れました。実際に待ち合わせしたときに、「お父さん」と呼ばれたときには、本当は泣き崩れるほどうれしかったです。なにしろ、毎日毎日ずっと2人の写真を持ち歩いていましたし、とにかく会いたい、元気に成長しているのだろうか、つねに頭に浮かんでは会いたい気持ちをずっと抑えてきた14年間でしたからね。  健太から連絡がきて、再会の日程を決めるときも、子どもたちのスケジュールを優先で約束したので、正直、すごく大事な仕事がいくつか入っていましたが、全部キャンセルしましたね(苦笑)」と健司さん。 ■この14年間どうだったのか、尽きない会話  久々の再会は、若い2人を考慮して、高級焼肉屋さんへ連れて行きました。しかし、「たくさん食べなさい」と健司さんが促しても、2人とも緊張と胸がいっぱいになっていたのか、全然食事が喉を通らず、たくさんごちそうしてあげたかったのにあまり食べられなかったとか。  この14年間どんな生活をしてきたのか、学校生活はどうだったのか、お友達はたくさんいるのか、娘の就職はどうだったのか、子どもたちが幼いころの思い出話など、尽きることのない会話で、少しずつ空白の時間の中のピースを埋めるように、健司さんは子どもたちが話す言葉を一言一言大切に拾い集めるように、夢のようなこの目の前の状況をかみしめていたといいます。  会話も弾んできたところで、健太さんが思いの丈をぶつけるように、健司さんの目をまっすぐ見て声を振り絞って言った言葉が、「お父さん、どうして今まで僕たちに会ってくれなかったんですか」。  これには健司さんも絶句してしまいました。  会いたかった。ずっと会いたかった。ただ、別れた妻から面会が許されなかった。自分ができることは、毎月欠かさず養育費を送ることだけだった……。  この状況は2人も知っていたようで、それを押し通してでも会ってほしかったという思いがあったそうです。  健太さんが20歳という大人の節目に、母親とけんか覚悟で「どうしても父親に会いたい」という思いをぶつけてくれたおかげでかなった再会。子どもたちは再会するにあたって不安はなかったのかというと、「僕たちがお父さんに会いたいと願っていたのと同じく、きっとお父さんも僕たちと会いたいと思っていてくれるはずだ」と強く信じていたそうです。 2人の心の中では、「いつも遊んでくれて、優しくて、かっこいいお父さん」という思い出のまま。そんなお父さんが突然家を出ていなくなってしまったというのは子どもたちにとってもつらい14年間だったのでしょう。  子どものうちはどうしても両親、大人の事情に左右されてしまう環境にあります。会えるも会えないも親権者である大人次第で、思いは心にしまっておくしかないのが子どもというものです。元奥様だって心の傷が深かったからこそ、制裁も厳しくしてしまったのでしょう。 ■大人の事情に従うしかない子どもたちへの向き合い方  現在において、離婚だけでなくあえてシングルを選んで子育てをするという方が増えてきています。今回このお話を伺ったときに、皆さん状況はさまざまですが、子どもの気持ちをどこまでくむことができるのか、どこまで子どもたちの心の深いところまでしっかり向き合うことができるのか、大人の事情に従うしかない子どもたちへの向き合い方が今後もっと大切なテーマになってくると感じました。  健司さん親子は、現在では息子、娘それぞれと毎日連絡を取り合っているそうです。とくに息子の健太さんは、「男同士だから話したいこと」もあるようで、将来の社会生活への相談や、恋の話など、ずいぶんとお父さんを頼りにしているようです。何年会えずにいても、強い親子の絆を感じたエピソードでした。

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